宇宙空間でも死なない生物がいる「クマムシ」「ネムリユスリカ」

宇宙空間でも死なない生物がいる「クマムシ」「ネムリユスリカ」

2014.04.11

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1960年代以降、これまでに人類は何度も宇宙に飛び出しています。
最近では、宇宙ステーションの船外活動なども多く見るようになりましたが、その際には宇宙飛行士が安全に活動できるよう、専用の宇宙服を着ていますね。
つまり、宇宙空間は生身の人間が生きられるような環境ではないということになりますが、そんな過酷な場所でも死なない生物がいるのです。

■宇宙空間とはどんなところ?
多くの皆さんもご存知のとおり、宇宙空間はほぼ真空状態で酸素もありません。そのうえ、とても寒く、人体に有害な電磁波だってたくさん飛んでいます。
そのため、国際宇宙ステーション(ISS)などはなるべく人体に害が無いような環境づくりをしています。それでも、地上から400kmの高さにあるISSに滞在している間は、地球上で浴びる放射線量の100倍以上の宇宙放射線を浴びることになります。

■宇宙でも死なない「クマムシ」
しかし、このような過酷な環境でも生き延びることができる生物がいます。その代表例が「クマムシ」です。
クマムシは体長1mm程度の小さな生物です。名前に「ムシ」とついていますが、正確には昆虫ではなく8本の足を持った「緩歩(かんぽ)動物」の一種です。見た目が熊に似ていることから、このように名付けられました。このクマムシは、「不死身の生物」という代名詞を持つほど強い生命力を持っていることが最大の特徴で、北極・南極から赤道直下、さらには深海底から高山地域など、地球上のあらゆる場所に生息しています。

彼らは過酷な環境に置かれると、代謝速度を遅くして体内の水分量を極限まで減らした「乾眠状態(クリプトビオシス)」に変化します。すると、温度に対しては絶対零度(-273℃)に近い低温から150℃の高温まで、圧力に対しては0気圧(真空状態)から75,000気圧まで、放射線についても人間の致死量の 1,000倍以上まで耐えられるようになるのです。

そんなクマムシが宇宙に行ったのは2007年のことです。
欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星「フォトンM3」によって宇宙へと飛び立ったクマムシたちは、過酷な宇宙空間に10日間ほどさらされました。真空状態の中で強い放射線まで浴びた彼らでしたが、見事地球に生還したのでした。

■ 「ネムリユスリカ」も宇宙へ
同じように乾眠状態を保てる生物として「ネムリユスリカ」という昆虫がいます。
こちらは、もともと半年以上も雨が降らないようなアフリカの乾燥地域に生息し、乾燥した状態では眠り続けることからその名が付けられました。
彼らも、ロシア科学アカデミーとの共同研究の一環として、およそ1か月間国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する実験に参加しました。その後、再び宇宙へ連れて行かれ、船外での滞在実験も行われましたが、いずれのケースも地球に帰還した後、ちゃんとその生存が確認されています。

■ なぜ宇宙空間でも死なないのか?
それにしても、どうしてこのような過酷な状況でも死なないのでしょうか。
その秘密は糖にあります。彼らは乾眠状態になると体内の水分を極限まで減らし、その代わりにトレハロースという糖を作り出します。トレハロースは昆虫の血液内には一般的に含まれている糖類ですが、最近は砂糖の代わりとして料理に使うケースも増えていますので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

化粧品などにも使われるほど高い保水力を持っているという特徴があり、これが体内で水分の代わりとして機能します。さらには、ガラスのような固形状態となって細胞を保護するため、乾燥した状態でも死なないで済むのです。ただし、クマムシやネムリユスリカが乾眠状態になるにはある程度の時間が必要です。そのため、急激に外部環境が変化してしまうと、その変化についていけず死んでしまいます。

■ まとめ
このクマムシやネムリユスリカのように、宇宙空間の厳しい条件下でも眠った状態で生命を維持できる生物もいます。そう考えると、火星や他のもっと過酷な環境を持つ惑星に、私たちがまだ知らない未知の生命体が存在するとしても不思議じゃないと思いませんか?(文/TERA)

by yakuraibosi | 2015-04-07 21:10 | Comments(0)
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